印刷用語－波打ち

　印刷用語　波打ちとは？

印刷物に欠かせない印刷紙は、紙の製造工程において出来てしまうシワと印刷機上で発生するシワとがあり、印刷機上で発生するものを「印刷シワ」と呼びます。印刷シワが起こる要因は幾つかあるのですが、そのうち紙の要因として最も多いのが「波うち」や「おちょこ」で、よく「紙くせが悪い」などと表現されます。

　

紙の製造時には問題がないのに後に「紙くせ」が悪くなってしまう主な原因は、湿度です。そもそも紙は植物繊維を原料に作られているもので、植物繊維は周囲の湿度によって周りの水分を吸収したり逆に周りに水分を放出したりするという特性を持ちます。

　

例えば紙自身がもつ湿度つまり水分（紙間湿度）より周囲の大気の湿度が高い場合には、紙が大気中の水分を吸い込んで紙の端部だけが部分的に伸びてしまいます。そのような紙を側面から見るとまるで波を打っているような状態であるため、これを「波打ち」と言うわけです。従って梅雨時には波打ちが発生しやすく、例えば印刷用紙に限らず雨の日に郵便物を受け取ると紙がシワシワになっているのもまさにこの現象によるものです。

　

印刷用紙で波打ちが起こってしまうと印刷時に見当狂い（印刷ミス）やシワが起こりやすいですし、波打ちがひどければそもそも印刷用紙として使い物にならなくなってしまいます。従って梅雨時期のように湿度の高い日は紙の管理が重要で、特にプリンターに紙をセットしたまま放っておくと周囲の湿度の影響を受けやすいため、すぐに使用しない紙はきちんとしまっておくようにしましょう。

　

また波打ちは周囲の湿度によるものだけでなく、例えば広範囲に塗りつぶしを設定したデータをインクジェットプリンタにかけた場合でも起こり得ます。集中的にその部分にインクが塗布されるため、そのインクの水分で波打ちが起こってしまうわけです。

　

更にはレーザープリンターの場合でも、プリンター内のトナーによって紙に熱が加わることで波打ちが起こることもあります。このような、印刷によって起こってしまう波打ちを防ぐには、普通紙ではなく耐水紙を使用するというのも1つの方法でしょう。

　

一方、「おちょこ」は波打ちとは逆の条件下で発生する紙くせで、周囲の湿度が紙間湿度よりも低い時、紙から水分が放出されて縮み、紙の隅がせり上がっておちょこ（盃）のような形になるためこのように呼ばれています。従って乾燥しやすい冬場などは紙の「おちょこ」に注意しなければなりません。

　

これら波打ちやおちょこは、大気湿度と紙間湿度の差が10～15％RH以上になると起こりやすいと言われています。