印刷用語－オーバープリント

　印刷用語　オーバープリントとは？

印刷データと実際にプリントアウトした印刷物とでイメージが異なってしまうというトラブルの原因にもなりやすいのが、「オーバープリント」です。オーバープリントとは印刷の際の製版指定の1つで、データ上でオブジェクトが重なっている部分について、「下のオブジェクトの色の上に、上のオブジェクトの色を重ね塗りする」という方法になります。

　

このオーバープリントを指定しないで印刷した場合、オブジェクトが重なっている部分に関しては下の色を抜いて（印刷しないで）、上の色だけをその部分に塗布することになります。

　

オーバープリントを指定した方が良い場合とは、主に版ズレを防ぎたい場合です。前述の通り、オーバープリントを指定せずにプリントすると、オブジェクトが重なっている部分は、下の版が抜かれた状態で上の版の色が印刷されますから、この抜かれた部分に正確に上の色が印刷されなければズレた部分が白く残ってしまいます。これが「版ズレ」で、わずかなズレも許されない場合には、下のオブジェクトを塗った上から上のオブジェクトを重ねて印刷するオーバープリントが適していると言えるわけです。

　

しかし不要なオーバープリントは、前述したようにコンピューターの画面上で見るデータと実際にプリントアウトされた印刷物とに違いが出てしまうこともあるため、注意が必要です。例えば印刷物は全てインクによる減法混色であるため、最も明るい色である白は「白色の塗料を塗る」のではなく「何も塗布しない」ことで表現されます。（つまり紙の色がその印刷物における「白」となります。）

　

ところが有色の下のオブジェクトの上に重ねて白いオブジェクトが存在すると、オーバープリントの場合下のオブジェクトをベタ塗りすることになるため、上の白いオブジェクトがなくなってしまいます。こうしてデータ上では白抜きのオブジェクトが存在しているのに、実際の印刷では下のオブジェクトのベタ塗りだけが存在するという相違ができてしまうのです。

　

また白抜きでなくても、下のオブジェクトと上のオブジェクトが重なる部分は混色になってしまいます。例えば下のオブジェクトがシアン、上のオブジェクトがマゼンタだった場合、重なっている部分は重ね塗り、つまりシアン+マゼンタということになるため、紫のような色になってしまうのです。これはK100％の黒でも言えることで、真っ黒のように見えても透過性があるため、下のオブジェが薄く浮き出て色味が変わったり下の絵柄が透けて見えたりすることがあります。

　

このようなトラブルを防ぐために、依頼されたデータ内にオーバープリント設定があれば自動的に全て破棄する、という印刷業者も少なくありません。