印刷用語－完全データ

　印刷用語　完全データとは？

コンピューター上で仕上げた印刷物のデータを印刷業者で出力してもらう場合、業者より「完全データでの入稿をお願いします」と言われることが多いでしょう。「完全データ」とは印刷業者側でデータを調整したり変更したりする必要のないデータのことで、つまり入稿されたものをそのままプリントアウトすれば良いデータということになります。

　

というのも、コンピューターの画面上で作成したものと、実際に印刷したものとでは多少の違いがあり「出来上がりが想像していたのと違う！」ということも少なくないからです。加えて作成したデータの保存形式と業者が対応できる保存形式が異なる場合、そもそもそのデータを立ち上げることができず出力不可能、となってしまうこともあるのです。従って、業者が指定した形式で仕上げたデータを入稿するよう求められることが多いのです。

　

業者により指定される形式、と言っても、多くの場合それは共通しています。まず、カラーモードはRGBではなくCMYKであること。通常コンピューターの液晶画面は色の表現法がRGB、つまり「光の三原色」と呼ばれる加法混色になっていますが、実際にプリントアウトする際にはCMYK、塗料の四原色である減法混色で出力されます。この色の表現法の違いにより、画面上では明るく鮮やかな色が、くすんだ色になって出力されることがあります。

　

これはCMYKの色域がRGBの色域と比べて狭いためで、CMYKで表現できない色は疑似色に置き換えられてしまうからです。従って、この色の差異による顧客とのトラブルを防ぐために、予めCMYKモードに変換して出来上がりの色味を確認して欲しいという意図があるのです。

　

また、文字データはアウトライン化しておくことも必要です。業者側のコンピューターには入っていないフォントの場合、アウトライン化していないと文字化けやフォントが別のものと差し変わったりして、本来のデザインとは異なるものになってしまいます。

　

トンボと塗り足しの設定も必要です。例えばA4サイズの注文であっても、実際に印刷する際にはA4以上のサイズに出力し、それをA4サイズに裁断するという方法がとられます。このため裁断を指定するトンボが必要なのですが、裁断位置ギリギリサイズでデータを作成した場合、裁断位置の若干のズレにより余白ができてしまうため、裁断位置より3mm程度広めに絵柄や背景等を伸ばしておく必要があり、これを「塗り足し」と呼ぶのです。

　

この他、リッチブラックの設定やリンクデータの埋め込みなど、各業者によって異なる指定もあります。また前述の通り指定された保存形式で保存することも忘れないようにしましょう。