印刷用語－グレースケール

　印刷用語　グレースケールとは？

PhotoshopやIllustratorなどのデザイン作成ソフト、またプリンターやコピー機などにも見られる「グレースケール」。名前だけ聞くと「モノクロのことかな？」と思うかもしれません。確かに見た目にはほぼ変わらないものなのですが、色の表現方法から言うとグレースケールとモノクロには明確な違いがあります。

　

グレースケールとは、デジタル画像における色のピクセル標本値に光度以外の情報が含まれていない「色」のことで、PhotoshopやIllustratorの「スウォッチ」にも数段階～数十段階にわけて表示されています。スウォッチを見てみれば分かる通り、最も光が強い（光度100％）白から光が全くない（光度0％）黒までの間に、数段階に分けられた灰色が存在しています。

　

この灰色の階調の細かさを表す単位は「ビット」で、現在多くの場合8ビット・256階調かあるいは16ビット・6万5534階調が採用されています。つまり256種類あるいは6万5534種類の灰色を表現できるというわけです。「モノクロ」とはこの階調が1ビットの状態で、つまり白と黒の2階調しかない状態を指します。

　

「だけど『モノクロ印刷』で印刷しても白黒以外にちゃんと灰色も出せるけど？」と思われるかもしれません。確かに見た目には同じ灰色に見えるかもしれませんが、実はモノクロで印刷した場合は同じ基調の黒だけ用い、灰色に表現したい部分は間隔を空けて黒を塗布しているのです。

　

例えば白に近い灰色を表現する際には「黒白白黒白白黒」、黒に近い灰色を表現する際には「黒黒白黒黒白黒黒」といった具合です。（この場合の「白」とは塗料を塗っていない「空白」のことです。）これに対してグレースケールは前述の通り256階調～6万5534階調までで色の強弱をつけることのできる印刷方法ですから、当然仕上がりはグレースケールの方が滑らかでキレイです。ただし、人が肉眼で見た場合、モノクロとグレースケール、両者の印刷物の違いを見分けることはできませんから、印刷する際に特にグレースケールにこだわる必要はありません。

　

モノクロ2階調とグレースケールの違いにこだわるべきなのはコンピューター上で作成された原稿データの場合で、一般にモノクロ2階調のデータなら解像度は1200dpi、グレースケールのデータなら600dpiにするべきと言われています。これはデータを拡大した時にモノクロ2階調の方がデータが荒く、質が落ちてしまうからです。従って、データはグレースケールで作成した方が良いですが、印刷物に関しては特にこだわる必要はない、と覚えておくと良いでしょう。