ポスター作りでは意外性とオリジナリティが大事だとよく言われます。何しろ繁華街や駅に行けばたくさんのポスターを見つけることができますから,それらの中から際立って印象深く,興味を持ってもらえるような内容にしなければならないわけです。
ただ情報を発信するだけで,どこかで見たようなデザインのポスターではそもそも目にとまらず,宣伝効果がほとんど得られないのです。
ポスターに「意外性」を持たせるときの注意
ただ,この意外性やオリジナリティという言葉には注意も必要です。変わったことをやろうとすればするほど,またこれまでにない斬新な手法を取り入れようとすればするほど失敗するリスクが高くなるからです。いわゆる「外してしまう」というやつです。
こうしたポスターは「何だこれ?」と目に留まりがちですが,その内容そのものに興味を持ってもらうことは少なく,せいぜい友達同士の話のネタになって終わってしまいます。単に珍奇でヘンなポスターではなく,訴求力をしっかり備えていることが大前提となるわけです。
意外性のあるポスターでも「基本」を抑えることは大切
そのためにはポスター制作の基本を踏まえたうえで逸脱を図ることが大事です。たとえば大きな文字でタイトルを乗せようと思った場合には,それ以外のテキストや画像はしっかり揃える基本のレイアウトを踏まえた方が印象的になります。
基本は整然としていながらタイトルだけが過剰に大きかったり,ズレていることでインパクトが大きくなるのです。
意外であっても焦点をぼかさない
それから焦点をぼかさないようにすることも大切です。意外性を求めたポスターによく見られるのが,さまざまな画像や大きな文字があちこちに踊っているタイプです。見た目は確かに意外性があるかもしれせんが,見る側の注意が分散してしまって,結局そのポスターは何を言いたいのか分かりにくくなってしまいがちです。
大胆な表現を目指せば目指すほど際立たせる部分を絞り込む,基本的には文字も画像もひとつずつに留めましょう。
ギャップをうまく利用すると効果的
ギャップをうまく利用するのも意外性を引き出す方法です。モデルや有名タレントを起用することが多い美容・ファッション関連のポスターで,あえて普通の女性を起用すればかえって興味を引き立てられるものです。
また,世間一般でセールスポイントと考えられている部分をあえて否定することで意外性を持たせる面もあります。価格の高さをアピールすることでかえって品質の高さを強調できる,コスト重視ではなく品質重視で作っていることを知ってもらうといった形です。
基本を踏まえたうえでの意外性
ポスターの意外性は決して独創性や斬新な発想ばかりから生まれるのではなく,基本を踏まえたうえでいかにうまく逸脱できるかが鍵となるでしょう。