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ロートレックが生み出したポスターの数々をご紹介します

ロートレックのポスターの数々をご紹介

ロートレックが生み出したポスターの数々をご紹介します

フランスを代表する画家であり,特にポスター作家の先駆者として商業美術の発展と社会的立場の確立に大きく貢献したと言われるロートレック

日本の浮世絵の影響を強く受けたことでも有名で,世紀末特有の退廃的なモンマルトルの歓楽街で働く人々を浮世絵的なデフォルメで表現,今でも根強い人気を誇っています。

ロートレックの初のポスター「ムーラン・ルージュ」

ロートレックは幼少期からスケッチブックなどに風刺漫画を描くなどその才能の片鱗を見せていましたが,少年期に足の骨折が原因で両足の発育が止まり,これによりロートレック本人が身体的障害に劣等感を持つようになったことが退廃した夜の生活を送る娼婦や芸人たちへの共感を生んだのではないかと言われています。

ロートレックが歓楽街に入り浸るようになったのは21才の頃,アリスティード・ブリュアンの影響によるもので,そのころからドガやベルナール,ゴッホなどの多くの芸術家たちと交流を持ち新しい芸術にも触れることとなりました。

ロートレックの名をパリ中にとどろかせた初のポスター「ムーラン・ルージュ」は,彼が27才の時の作品。版画の楽しさを知りポスター制作の依頼が爆発的に増えたこともあって,その後37才で死去するまでの10年間は337点の石板画及びドライポント,31点のポスターを作成しました。

「ムーラン・ルージュ」にみられる画期的な表現技法

前述の通りロートレックの知名度を一気に上げるものとなったポスター「ムーラン・ルージュ」。ムーラン・ルージュそれ自体は1889年に開場すると同時に人気はうなぎのぼりとなり,モンマルトルの象徴的存在となりました。

ポスターの中央で踊っているのは本名「ルイーズ・ヴェベール」というアルザス出身のダンサー。彼女はこの描かれ方が気に入らなくてロートレックに文句を言ったそうですが…。手前にいる横顔の男性はダンスの名手と謳われた「骨なしヴァランタン」,後方のシルエットが華やかな賑わいを演出しています。この,遠近法を用いた表現は当時としては非常に革新的でした。

カフェ・コンセール「ディヴァン・ジャポネ」のポスター

1893年作の,カフェ・コンセール「ディヴァン・ジャポネ」のポスター。黒のドレスに黒の帽子,黒の扇を持っている中央の女性がジャヌ・アヴリル,右端の黒のシルクハットの男性が音楽批評家エドワール・デュジャルダン,舞台に立つ黒の手袋しか見えない歌手はイヴェット・ギルベール。

黒がバランスよく配置され,ポスター全体がグッと引き締まっていて,現代の感覚からしても完成度の高い作品です。浮世絵の影響を感じさせるデフォルメや体のフォルムも魅力的で,日本のオシャレなバーなどに飾ると良さそうですね。

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