ポスターは目に触れる限られた機会・時間の間にいかに興味を持ってもらうか,印象を残すことができるかが勝負です。はじめて見たポスターの前に立ち止まってじっくりと目を通す,ということはあまりなく,通りすがりに目を向けるだけの人にあとでもっとよく見てみよう,あとでネットで詳細を調べてみようという気にさせるようなインパクトのあるデザインが求められるのです。
情報を伝えるよりもインパクト重視のデザインに
逆に言えば,インパクトを与えたもの勝ちな面もあります。ときどき驚くほどシンプルなポスターを見かけることもあります。余白だらけで中心にキャッチコピーが踊っているだけ,詳細すらよくわからず「詳細はホームページで!」といった誘導分が書かれているだけなど。
こうしたポスターは情報を伝えるという面ではまったく用をなしていないのですが,インパクトを与えて興味をもってもらう,という点においては最高レベルのクオリティを備えているといえます。
とくに現代はスマホを使えばその場で詳細をチェックできる時代です。駅でインパクトがあるポスターを見かけた後,電車の中で詳細を調べるなんてパターンも珍しくありません。その意味では現代はひと昔前と比べてもポスターにインパクトが求められている時代といえるでしょう。
イメージキャラクターによるインパクトデザイン
そんなインパクトを与えるポスターをデザインするにはいくつかの手法があります。まずはイメージキャラクターを大々的に活用するタイプ。人気のアイドル,タレント,あるいはアニメやゲームのキャラクターを採用することでファンの興味を惹きつけるのです。最近では,ゆるキャラやご当地キャラクターなどもこうしたパターンで積極的に活用されるようになっています。
魅力的なキャッチコピーによるインパクト
それから魅力的なキャッチコピーで惹きつけるタイプ。キャッチコピーはポスター作りの生命線ともいえるものですが,シンプルで大胆なキャッチコピーほどインパクトが大きく,そのポスターが何を伝えたいのかを調べないわけにはいかなくなるような強い吸引力を発揮します。センスが問われますが,ポスター作りとしてはもっとも理想的なパターンといえるでしょう。
ギャップを利用したインパクトデザイン
ギャップや型破りな要素を前面に押し出すのもひとつのデザイン方法です。先述した詳細がよくわからないポスターなどはその典型例,他にはまじめな印象があるジャンルにポップなポスターを作る,きれいな女性にあえて変なメイクや服装をさせるといったやり方もあります。要は見る人に「なんだこれ?」と思わせることができればいいのです。
ただ外してしまうとどうしようもないダメポスターになってしまうリスクもあるので,さじ加減がかなり難しい面もあります。