人の目に留まるポスターをデザインする場合には,配色も意識する必要があります。どうしても訴求力のあるキャッチコピーやインパクトのあるタイトル,ビジュアルにばかり目を向けてしまいがちですが,配色が相応しくないとそうした工夫の効果も十分に得られなくなってしまいます。
また配色の段階でポスターのイメージが決まってしまうこともあるので注意しましょう。駅に掲示するポスターの場合は特に離れた場所にいる段階から目にすることが多く,色がもたらす印象によって近寄って見てみようとか,興味をもたずに通り過ぎる際に視線すら向けないといった両極端な状況が起こりえます。
カラーには「明度」と「彩度」の2つの基準
ポスターのカラーにはまず「明度」と「彩度」の2つの基準があります。明度とはつまり明るい色かどうか,彩度とは鮮やかかどうか,です。白は明度が高く,黒は低いことになりますし,原色であればあるほど彩度が高く,いろいろな色が混ざり合うくさんだ色ほど低いということになるわけです。
目立たせるための「補色」の効果
この明度と彩度を踏まえたうえで配色を決めていくわけですが,その際には補色についても知っておきましょう。補色とはその名の通り補う色のことで,メインに使用する色に対して正反対に位置する色の組み合わせがあります。
つまり異なる色同士を組み合わせることによって目立ちやすい効果を出せるのです。具体的には黄色に対して青紫,オレンジ色に対して青,赤に対しては緑などの組み合わせがあります。
彩度の高い色と補色の組み合わせでインパクトをつける
とにかく目立たせたいと思った場合には,彩度が高い色をメインに補色と組み合わせれば遠くからでも目立つインパクトのある色合いにすることができます。
ただこれには注意が必要で,組み合わせによっては内容に相応しくない印象になってしまうこともあります。たとえば紫の補色は黄緑ですが,実際にポスターで使用するとちょっとどぎつい印象になってしまいます。
内容やターゲットに合わせた配色
またポスターの内容やターゲットに合わせた配色も大事です。大人の女性や中高年をターゲットにしたポスターにあまり彩度が高いカラーは適しませんし,逆に子供や若い女性をターゲットにしたポスターは彩度が高い方がピッタリきます。
また内容に合ったカラーというものもあります。夏は海を連想させる青,春は桜を連想させる薄ピンクなど。目立てばいい,ではなく作ろうと考えているポスターに合った色の選択と配色が求められるのです。
見る環境による色合いの違いを意識する
最後にもうひとつ注意したいのはパソコン上でデザインした場合と印刷して日差しを浴びる環境で見る場合とでは,同じカラーでも印象が異なることもあるということです。この辺りまで配慮してはじめて,適した配色の魅力的なポスターをデザインしたことになるでしょう。