ポスターのほとんどは短期間の活用を前提に作られています。特定のイベントを宣伝するために作る,一定期間のセールをアピールするために作られることが多いため,使用期間は長くても2~3ヵ月,目的を達成した後は剥がされて破棄される,基本的には消耗品です。
長期保存の目的―コレクション
しかし宣伝として利用する側としては消耗品ですが,楽しむ側にとっては大事なコレクションにもなります。楽しかったイベントの思い出の品とて,さらに好きなアイドルやタレント,キャラクターをイメージキャラクターに使用した場合には最初からコレクションの対象として入手することになるでしょう。そのほかスポーツや映画のポスターもファンにとっては長く大切に保管しておきたい対象になります。
消耗品であるポスターを長期保存する
この作り手と集める人たちの間の意識の違いはポスターの長期保存の問題を引き起こすことがあります。消耗品として作られているわけですから長期の保存を前提にしておらず,経年による劣化がどんどん進んでしまうのです。これはポスターの種類や制作方法によっても異なりますが,早い場合は1年もしないうちから劣化が目立ち始め,どんどん状態が悪くなってしまいます。
最も大切なのは,光を当てないこと
では,できるだけきれいな状態で長期間保存するにはどうすればよいのでしょうか?最大のポイントは「光に当てない」ことです。屋外で掲示することも多いポスターは光の退色をある程度防ぐことができますが,それにも限界があります。何年も光を浴び続けているとどうしても色が褪せてしまい,劣化の最大の要因となります。資料館や居酒屋などでレトロなポスターを見ることもありますが,そこで見られる劣化の多くが色褪せです。
ですから光をできるだけ当てない環境で保存するのがもっときれいな状態で長持ちさせるポイントとなります。理想としては日ごろは壁に展示するようなことはせずしまっておいた方がよいでしょう。
広げた状態での保存も効果的
それから広げた状態で保存するほうが持ちがよくなります。丸めたまま保存したほうがスペースをとらずによいのですが,ポスターを広げて展示するために作られたものですから,その状態で保存した方がきれいな状態を保つことができます。
この点に関してはちょっとお金がかかりますが,ポスターパネルやジグソーパズル用のパネルを用意してそこに広げて保管すると長持ちします。ポスター1枚ごとにパネルを用意する必要はなく,3~5枚くらいをまとめて収納しても大丈夫ですが,その際にはポスター同士を密着させずに紙をはさむのを忘れないようにしましょう。