ポスターとは基本的には消耗品です。イベントやセールなど一時的に行われるものに対して多くの人の関心を集め,話題性を高めて集客へと結びつけます。そのイベントなりセールなりの開催が発表されてから終了するまでにどれだけ注目を集めることができるかで価値が決まります。逆に言えばいくら話題になったポスター,完成度が高いポスターであっても「旬」が過ぎればはがされて忘れ去られていきます。
街中を見ても10年前のポスターを見かける機会などほとんどないでしょう。そもそもポスターは5年,10年後まで語り継がれるような内容かどうかよりも,限られた期間の間に大きな話題となってインパクトを与えられるかどうかに比重が傾いている表現方式・メディアともいえるのです。
「作品」としての価値を持つポスター
ただ,それでもなお優れたポスターには「旬」が過ぎた後でも見るものに大きなインパクトを与え,忘れがたい印象を与えるものも少なくありません。本来の役割を終えるのではなくひとつの「作品」としての価値を持ち続けているポスター。こうした優れたものは時代を超えて「よいポスターとは何か?」を考えさせ,学ばせてくれる面もあります。
現代でも新鮮さを感じさせる昔のポスター
世界的に有名なポスターの中でもおそらくもっとも世代を超えて広く知られているのがアンディ・ウォーホルの有名人を描いたものでしょう。とくにマリリン・モンローのポスターはウォーホルを知らない人でも見たことがあるはずです。
原色を中心に派手な色使いを大胆に取り入れた手法,無駄なものを徹底的に排除して何を一番表現したいのかをストレートに伝えるメッセージ性。「ポスターはわかりやすく」との原則を追求した先にたどり着いた表現は現在でもなお時代の先をいっているような新しさが見られます。
100年前のポスターから学べる点
それからもう100年も前のものですが第一次世界大戦の際に兵士を募集するために作られたポスター。「I WANT YOU」という文字が非常に印象的なポスターは歴史の教科書にも掲載されているほどです。
これも何をアピールしたいのかをひと目で理解できるうえにポスターを見ている人に直接訴えかけているかのようなイメージを持たせる強烈なインパクトが大きな特徴です。この「直接訴えかけてくる」部分は現在でも大いに参考になることでしょう。
女性をターゲットにするうえで学べるポスター
さらに古く19世紀後半~20世紀前半に大いに人気を博したアルフォンソ・ミュシャという画家によるポスターも非常に有名です。劇場の公演のポスターが多いのですが,芸術的な価値が高いだけでなく洗練された雰囲気が非常に魅力的で,とくに女性にアピールできる柔らかで品を感じさせる面は女性をターゲットにしたビジネスが重視されている現在にも参考になる部分が多いはずです。