印刷用語－塗り足し

　印刷用語　塗り足しとは？

家庭用プリンターで出力するのではなくデータを印刷業者に入稿してプリントアウトしてもらう場合、「塗り足し」が必要になります。

　

印刷業者が依頼された印刷物を作成し納品する場合、例えばそれがA4サイズのチラシであればA4用紙をプリンターにかけて出力するわけではなく、1枚の大きな紙に複数の印刷データを付け合わせしてまとめて印刷します。こうして複数枚の同じ印刷物を重ねた状態で、大きな包丁のような刃で一気に切り落として依頼されたサイズに揃えるのです。

　

この裁断に使用する包丁のような刃には重みがあり、この重みのせいで重ねた紙がどうしてもずれてしまい仕上がり線ピッタリに切り落とせないことがあります。このため裁断時のズレを考慮した「断ち切り線」と呼ばれる、仕上がり線より3mm余裕を見たラインがあり、この範囲まで余裕を持ってデザインしておく必要があります。これを「塗り足し」と呼ぶのです。

　

塗り足しがされていないとどうなるか、具体的に説明します。例えば背景色が有色（例えば緑色）のA4サイズのチラシであった場合、A4サイズギリギリ（210mm×297mm）にしか背景色を塗っていなければ裁断ズレが起こった時緑色に塗られていない紙の白い部分が端の方に現れてしまいます。

　

あるいは背景に写真が配置されている場合でも、サイズギリギリまでしか配置されていなければ裁断ずれにより、端の方だけその写真が途切れてしまうことになります。勿論背景に限らず紙いっぱいにまで罫線や模様を配置したい場合も同じです。

　

従って、印刷業者に印刷物の作成を依頼する場合には、この裁断ズレを考慮に入れたデータを入稿する必要があるわけです。仕上がりサイズがA4であれば、3mmの余裕を持った216mm×303mm（210mm∔左右3mmずつ×297mm∔上下3mmずつ）まで塗り足しをし、逆に内側に裁断ズレが起こった場合を考慮した204mm×291mm（210mm-左右3mm×297-上下3mmずつ）をオブジェクト線とします。特に絶対に欠けてほしくない文字や図形に関しては、このオブジェクト線より内側に配置しておくようにしましょう。

　

また縁取りデザインの場合、塗り足しは勿論、オブジェクト線より内側まで余裕を持って縁取りしておいてください。裁断ズレにより縁取りが均等にならない場合もありこれも避けようのないことなのですが、縁取りの幅を太めにとっておけば、ズレによる不均等が目立たなくなります。