印刷用語－コート紙

　印刷用語　コート紙とは？

印刷物を作る際に使用する紙にも様々な種類があり、一般に写真集や雑誌の表紙、カレンダー、ポスター、高級美術書などに使用されることの多い紙が、「コート紙」と呼ばれるものです。「コート紙」とは中・上質紙の表面に白色顔料と接着剤などを混ぜたグロス系のコート剤を塗って表面を平で滑らかにした紙のこと。このコーティングによりツルツルとした手触りで両面に少しの光沢があるため発色が良く、写真や色の再現性に優れています。

　

というのも、紙表面の凹凸がなくなり平滑であるために緻密な線も潰れませんし、コート剤のおかげでインクが吸収されず色が沈まないからです。そのうえ元々白色度の高い上・中質紙を用いている上にコーティング剤によって更に白色度が高まるため、インク本来の色を出すことができることも、印刷の質を高める要因となっています。

　

こういった特徴から、写真やイラストを掲載した印刷物、つまりポストカードやCDジャケット、ポスター、カレンダー、特に貴金属や車など光沢感を出したい写真を載せたパンフレットなどに最適というわけです。一方でツルツルとした表面であるため、鉛筆で書きこんだりスタンプを押したりするのには適していません。

　

「コート紙」には幾つかの種類があり、コート紙の中でもやや光沢が抑えられた仕上がりになっているものを「マットコート紙」と呼びます。一般に使用されるコート紙はコート剤の塗工量が20g/平方メートル程度ですが、これよりコート剤に厚みがあって（40g/平方メートル前後）図鑑や美術書などに使用される用紙を「アート紙」、アート紙より更に厚く40g/平方メートル以上のものを「スーパーアート紙」と呼びます。

　

光沢の強さで言えば、コート紙＜アート紙＜スーパーアート紙となり、スーパーアート紙にもなるとその白色度と平滑度の高さから印刷も非常に美しく、高価な美術書などに使用されます。更に平滑度が高く表面は鏡のようにピカピカとしていてコート紙の中で最も美しい印刷が可能なのが「キャストコート紙」で、これはコート剤を塗った上から熱を加えてプレスすることで作られます。当然最も高価なのもこのキャストコート紙です。

　

コート紙の厚みから適切な印刷物を具体的に挙げてきますと、例えば厚み約0.068mmと最も薄いコート紙では、新聞折り込みやチラシ、包装紙などが適していますし、約0.130mmならコシのある集めの紙なので写真集やカタログ冊子などに使用されます。厚み約0.270mmにもなると化粧品の箱などにも使用される、かなりしっかりとした厚紙で、厚めのポストカードやメンバーズカードなどにも利用されています。